「わりごそば」は出雲大社を中心として発展した出雲地方の郷土そばです。「わりご」とは木皿を重ねて、それを順に食べていくことから、いくつにも割れているという意味と言われています。また、その木皿の形が戦国時代の武士が使った盒(ごう)に似ているところからの名称であるともいわれています。 「わりご」は、かつては杉又は檜で作った正方形のものでした。明治時代に長方形のものが現れ、大正、昭和の初期までは小判型のものも使われました。その後時代の要請等により丸型に変わり、現在はイチョウ木地の丸型で、輪島塗のものが多く用いられています。そばの上に薬味をのせ、汁をかけて食べる食べ方は出雲そば独特のものです。 昭和初期頃まで「拍子木食い」といわれる、そばの曲食いが行われていました。長方形のわりごを両手にひとつずつ持ち、拍子木のように合わせて中のそばを内側に寄せ、それを箸を使わずにすすり込んで食べる「拍子木食い」は、そば食い競争の遊びのひとつでした。 参考文献:「そば・うどん百味百題」(社)日本麺類業団体連合会
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